本研究は従来の農業・農村社会研究、とりわけ共同体研究の視点で把え切れないものを解明する点に注意を払っている。とくに、農村における伝統的行事(正月、盆、七夕、氏神祭、天神さん等々)の状況だけでなく、新たに生れてきた各種のグループ文化活動(生花、俳句、囲碁、手芸、書道、琴、謡、バレー、花作り、舞踊、ゴルフ、マラソン、ソフトボール……)の実態を把握し、その農村社会における意義を究明するものである。これによって、確かに伝統的行事は衰退しているが、形を変えて生き残っていること、またそれらに倍する新しい文化活動が各層で芽吹き活発に活動していること、そしてそのことが村に生きる新たなエネルギー源となっていることなどが判明した。 本研究では、とくに兵庫県青垣町を拠点調査地とし、継続的に調査を続けるとともに、他のいくつかの地域についても新しい文化、社会活動の動きを調べ、農村に起こりつつある変化を見ようとした。今後も青垣町を中心に、集落日誌のようなものを数集落につけてもらい、集落間、さらには都市町内会活動などとも比較研究する予定である。
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