研究概要 |
農林水産省の農林水産技術会議や兵庫県、愛知県、秋田県、新潟県、福岡県等多数の県での農業試験研究機関を訪問し、研究機関の組織、研究課題の選定方法、予算配分方法、研究成果の評価方法、研究員の評価方法、研究成果の普及方法等に関して聞き取り調査を実施した。また、兵庫県では3カ所の農業技術センターの研究員並びに普及員を対象に、研究課題の選定方法、研究予算額、予算配分方法、有償委託研究、研究成果の評価方法、研究員の評価方法、試験研究機関と普及機関との連携の現状、研究成果の県農業発展への貢献度等に関してアンケート調査を実施した。 アンケート調査の結果から以下の点が指摘できる。試験研究課題の設定方法に関して約73%の研究員は現在の方法は適切だと回答しているが、これに対し、60.4%の普及員は「農業技術センターにおける研究課題の設定に農家,農業団体の意見が「あまり反映していない」と回答しており,研究員とは評価が異なっていることが明らかになった。試験研究活動と農林水産業の生産現場との連携に関して、研究員と普及員の過半数がうまくいっていないと回答しており、連携のあり方に改善の余地があることを示している。また、6割を越える普及員が現場密着型の試験研究が不十分と回答している。研究員と普及員が一緒に行う現地試験について、研究員と普及員の過半数がもっと増やしてほしいと回答している。 試験研究機関の研究成果の生産現場への伝達ルートは「あまりうまく機能していない」と農業研究員の69%、普及員の72.4%が回答しており、技術・情報伝達ルートの改善の余地が大きいことを示している。また、現在の昇任基準に対して、「わからない」、「不適切だと思う」と回答している研究者が多く、改善の余地が多いことが明かとなった。
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