研究概要 |
本研究は、公立の農業研究機関による技術開発と農業普及組織による新技術の農業生産現場への普及がより効率的に実施され、技術進歩率を高める方策について研究する事を目的としている。これまでの研究から以下の点が指摘できる。 1) 研究課題の設定方法に関して農業研究機関の多くの研究員は現在の方法は適切だと回答している。これに対し、過半数の普及員は研究課題の設定に農家,農業団体の意見があまり反映されていないと回答しており、研究員とは評価が異なっていることが明らかになった。農業改良普及員の多くは、研究課題の設定においてより一層生産現場の声を直接反映させるべきという意見を持っている。生産者や生産者団体から直接研究要望を受けるようなしくみを作ることの必要性が指摘された。 2) 研究員と普及員の過半数は、試験研究活動と農林水産業の生産現場との連携はうまくいっていないと考えており、連携のあり方に改善の余地があることを示している。 3) 農業研究機関の研究成果の生産現場への伝達ルートはあまりうまく機能していないと研究員と普及員の過半数が回答しており、技術・情報伝達ルートの改善の余地が大きいことがうかがえる。生産者、研究者、普及員が一体となった現地実証試験や、さらには研究機関での研究と現地試験とを並行して実施して、研究成果を円滑に普及する手法について検討する必要がある。多くの普及員と研究員は、現場密着型の試験研究が不十分であるので今後増加することを要望している。 4) 研究成果の評価に関しては、県内農林水産業への貢献度という視点を重視するとともに、外部評価の導入も検討することが望ましい。 5) 新技術の普及段階で発生した問題を試験研究機関で再度試験研究する「フィードバックシステム」を確立することが望ましい。
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