研究概要 |
酪農開発における連合会の役割は小規模の単位酪農協の機能を補完し、単協ではできない大規模な事業を行うことである。連合会は通常、県レベルに組織されるが郡段階でも組織されている。インドの郡は普通100ケ町村で構成されていて、それぞれの村には単位酪農協が組織されている。村の酪農協は一般に組合員が100名程度の小さな組合が多く、牛乳を加工処理する力をもっていない。牛乳を加工処理するには単位協同組合が力を合わせなくてはならない。こうして行政段階に応じて連合会が組織されていったのである。郡段階の連合会の規模は組合員10,000名程であるが個々の組合員の牛の飼養規模な零細でせいぜい1,2頭にすぎない。1頭で1日当たり生産する乳量を5リットルとしても郡全体で50,000リットルにしかならない。50トン程度では農村部の人々の需要を満たす程度でデリーやカルカッタといった大都市の需要にはとても応えることができない。こうしたことからインド政府は県段階の連合会を組織し、そこで牛乳を加工処理させ大都市に供給しようと考えたのである。 けれども協同組合運動の発展経緯から郡段階の連合会もまだ機能しており、それらが県連合会と互角に競争しており、県が一本の協同組合連合会組織にまとまっていない。とりわけマハラシュトラ州ではこの傾向が強く、県連合会はいまだ全県を掌握していない。協同組合が企業とは異なる大きなメリットは組織力によって課題を解決していく自治管理能力であろう。インドの農村が今求められているのは、郡段階の連合会と県連が相互に協力して県下の酪農空白地域をなくしていくことであろう。ところが現実には郡段階の連合会の運営が創立者メンバー達のなかば世襲制に地階状況となっており、県連との協力関係が育くめない状態になる。こうした問題をどこから解きほぐしていくかが今後の課題である。
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