途上国において、後れている農村部を活性化させていくには社会的生産基盤とりわけ道路や灌漑施設の拡充が不可欠である。灌漑が確保されないと作物選択の幅が狭く農業の多様な発展を望むことが難しいからである。ところが灌漑施設に恵まれた地域では自給用の穀類を確保したうえ、商品作物の生産に積極的に取り組んでいる。 インドの場合、そうした社会資本整備を要望し実現させていく制度的仕組みが不十分で、営利を目的とする一般の協同組合と同一の法律に準拠している。その結果、個人負担が大きくなってしまい零細農民に有効に機能していない。酪農協同組合は牛乳の生産販売を行う農協ではあるが、日本の総合農協に近い位置にあり村レベルの農業生産について包括的に責任を負っている。 問題は村レベルの酪農協が集めた牛乳を県レベルの連合会がいかに有利な価格で加工し、販売してくれるかということである。大都市に近接した連合会はよいが都市から離れた大部分の県連合会は大きなハンディを抱えている。条件不利地域の県連合会が孤立して競争していくことは実際問題として大変難しい。そこで県連合会は州レベルの連合会に結集し販売力を強めていくしかないと考えられる。グジャラート州においては州内の一県連にすぎなかったアムール県連の販売方式やブランドを州の統一ブランドにすることに成功した。 日本においてはいま農協系統組織の縮小再編が行われているが、組合事業を一つの協同組合運動として捕らえた場合インドの酪農開発のあり方は示唆を与えるものである。
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