研究概要 |
平成8年度は,本研究計画の初年度にあたり,準備段階を含め以下のような手順で研究を実施した。 1.まず粘土鉱物として,膨潤性に富むモンモリロナイトを採用し,これを重量比で66%含むベントナイト「クニゲルV1」を供試試料に選んだ。 2.既往の研究結果に基づき,ベントナイト試料の液性限界領域における含水比を630%程度と推定した。 3.新たに購入した2種類の液性限界測定装置(キャサグランテ型,フォールコーン型)を用いて,ベントナイトと水の混合試料の液性限界を測定した。 4.こうして得られた液性限界の測定値(含水比)は,キャサグランデ型:439.8%,フォールコーン型:440.1%となり,両者は極めてよく一致した。ただし、既往の研究結果から推定される値を大きく下回った。 5.実験結果を試料作成の面から詳細に検討したところ,両試験法とも,試料と水を混合・練り合わせた後の静置時間の影響の大きいことが明らかになった。すなわち,試料作成1日後では,測定値の標準偏差は36.3%とばらつきが大きいのに対し,4日後では,10.9%と変動が小さく収まった。 6.以上を総合して,来年度はより精緻な実験条件に基づき,他の粘土試料についても綿密な実験を展開する必要のあることが示唆された。
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