ヨシ群落地からのメタン発生量のより正確な実測値を得る目的で、八郎潟中央干拓地大潟草原鳥獣保護区内のヨシ群落地において、チャンバー法によってヨシ群落地からのメタンフラックスの測定(4月〜11月、毎月中旬の晴天日)や土壌のEh、水位、pH、気温、水温、地温および水中堆積物内の気泡のメタン濃度等の測定を行った。また、ヨシの草丈や生葉面積、ヨシ群落の地上部と地下部の現存量等の調査を行った。その結果、次のことが明らかになった。(1).常時湛水している時のヨシ群落地からのメタンフラックスは、4月から6月まで漸増し、7月、8月と急増して、8月に322.8mg/m^2/hrの最大値を示した。その後、9月から10月へと75.3mg/m^2/hrの値まで直線的に急減した。(2).常時湛水している時のヨシ群落地からのメタンフラックスの季節変化の様子は、ヨシの生葉面積の季節変化の様子と類似した傾向を示した。(3).ヨシ群落地からのメタンフラックスは、地温の上昇と共に増加し、地温の低下と共に減少する傾向にあった。(4).ヨシ群落地の水位が地下水位の状態になった時は、土壌のEh値が負の値から正の値に急激に変化し、ヨシ群落地からのメタンフラックスは激減した。
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