異なる特性を持つ物質の境界面では興味深い現象が生じる。界面自由エネルギーの発生はその典型的な現象である。本研究はとくに電磁気現象に着目して、異なった土層の接触界面で生じる現象の解明を行うとともに、塩類土壌の凍結現象を対象として、凍結層と未凍結層の境界近傍で生じる現象の分析を行った。 すでに、土壌の誘電率に着目し、土壌水分に関する諸現象を計測する新しい方法としてFDR(Frequency DomainReflectometry)の実用化を図った。FDRやこれと同じ原理に基づくTDRは単に土壌水分計測だけでなく、誘電率の異なる境界面における電気信号の反射を利用することにより、境界面の位置を正確に測定できる。このことに着目して、境界面の位置を精度よく計測できる方法を完成し、この方法を適用して土壌凍結深を計測した。 土壌凍結現象は熱や水、そして物質移動を引き起こすきわめて複雑な現象である。凍結前線は未凍結土と凍結土という異なる性質を持つ土層が接触する界面であり、この前線近傍で熱や水の移動、そして水の相変化が関わるきわめてダイナミックな現象が見られる。この凍結前線に注目して、その位置の進行状況を詳しく測定するとともに、そこで生じる熱と水の移動、水の相変化について検討を行った。そして、凍結・融解前線の前進や後退の機構を明らかにした。 内蒙古、河套地域の土地を対象に塩類集積の実態を調査し、その集積機構の解明を行い、寒冷乾燥地域における冬期間の塩類集積の機構を明らかにするとともに、その対策法について検討を行った。
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