研究概要 |
平成8年度の研究実績は,第15回自然災害科学における口頭発表,および農業土木学会論文集投稿中である。 論文では,年最大24時間雨量に基づく降雨の時間集中度の確率推定式を用いて,年最大1時間雨量を推定する簡便法を提案した.年最大1時間雨量を発生させる方法として,従来法を併用する方法と年最大24時間雨量を考慮する方法の2つの式を提示し、その特徴と限界を論じた・ここで提案した方法では,年最大24時間雨量が与えられると,年最大1時間雨量はなくてもよく,計算のみによって年最大1時間雨量の推定が可能である.したがって,日雨量はあるが,時間雨量はない期間あるいは地域にとって,回帰式などを用いて年最大日雨量から年最大24時間雨量が求まれば,年最大1時間雨量が推定できる.それを用いてリターンピリオドの確率1時間雨量を推定することが可能であり,貴重な日雨量資料が有効に利用できる. また,これまで行われてきた年最大1時間雨量を用いて1時間雨量の超過確率値を推定する方法は,リターンピリオドの短い場合には問題ないが,リターンピリオドの長い場合には過小に推定する可能性があることを明らかにした.年最大1時間雨量をソ-トすることは,1時間雨量と24時間雨量のつながりを切断していること,および年最大1時間雨量の分布範囲を狭める結果をもたらすからである.
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