研究概要 |
松田ら(1996a,b)は降雨の時間集中度について研究し,降雨の時間集中度の正規変換変数の超過確率に対応する確率1時間雨量の推定法を提案した.これらの論文では,年最大24時間雨量を基礎データとして解析し,降雨の時間集中度は,1)sladeIII型正規変換式によって正規変数に変換できること,2)変換式に含まれる係数は一定あるいは年最大R24の関数で与えられること,3)推定されたCの確率推定値は実際の分布と比較して妥当な値を示すこと,4)sladeIII型正規変換式およびCから確率Rlが推定できること,など興味ある結果を示した. さらに,松田ら(1996b)の結果を用いて年最大R1を推定する簡便法を提案した.この方法を適用するには地域に適用可能なパラメータを求めておく必要がある.それらを利用することによって年最大R24が与えられると,年最大R1はなくても計算のみによって年最大R1が推定できる.また,必ずしもデータか追加される度に再帰年確率R1を再計算する必要はない. また,雨量資料がそろっている日本の気象官署(120カ所)の年最大1時間雨量を用いて,その生起確率の発生範囲と年最大1時間雨量の推定にガンベル分布を利用するために必要なパラメーターを求め,地域的な特徴を調べた。各地の実測の年最大1時間雨量の平均値,20年・50年確率値と本手法による推定値はいずれもかなり一致しており,応用性の広いことか確かめられた.
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