^<15>Nで標識した硝酸を裸地化した火山灰土壌に施用し、^<15>N標識硝酸(以下、^<15>N硝酸と略す)の追跡により土壌系からの溶脱と脱窒による^<15>N硝酸の消失現象と、それに関わる水環境要因を検討した (1)^<15>N硝酸の消失過程は、短期間で多量の^<15>N硝酸が消失する段階と、ほとんど消失することなく対象土層に保持されている段階の特徴的な2過程から成り立っている。 多量降雨により土壌水分の多い時期に多量な^<15>N硝酸が消失し、土壌水分の少ない時期には対象土層内の^<15>N硝酸はほとんど消失しない。 (2)土壌中の^<15>N硝酸がほぼ平衡状態であっても、地表から50cmより深い所の土壌水分は常に下降移動している。このことはは^<15>N硝酸の移動量が土壌水分の大きさと密接に関連するものの、常に水分の多寡に応じたものではないことを示唆している。 (3)秋から冬にかけての、^<15>N硝酸の総量ならびに土層内の垂直分布はほとんど変わらず、冬から春にかけての^<15>N硝酸は総量は変えないが、^<15>N硝酸の垂直分布はより深層へ向けて移動している。いずれ場合も土層からの^<15>Nの消失を認めず、脱窒による消失現象が生じていないことを示しており、^<15>Nの消失は、主として^<15>Nの下降移動である溶脱による可能性が高い。しかし、脱窒と溶脱はいずれも多水分の環境で起きやすいため、^<15>Nの消失に関わる脱窒の程度についてはさらに検討する必要がある。
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