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本研究は寒冷外気を利用した凍結濃縮・希薄化技術によって搾乳廃水の希薄化(清澄化)を目指したものであり、低温恒温室内で基礎実験を行った。凍結容器には外径80mm、内径70mm、全長210mmのアクリル管を用い、底部にゴム栓をして垂直に配置した。凍結は上方1方向から行い、周囲、底部からの凍結を防ぐためにスタイロフォームで断熱した。凍結条件は、周囲温度-5〜-30℃、風速0〜10m/sである。気流は液表面に対して、水平方向とし、風速は送風機への供給電圧をトランスで変圧して変化させた。凍結実験は試料表面から130mmの地点が凍結した時点で終了した。供試廃水は成分調整牛乳(COD:約260000mg/L)の希釈液を用い、0.5%(COD:1300mg/L)、1.0%(COD:2600mg/L)、2.0%(COD:5200mg/L)の3濃度に設定した。得られた結果は次の通りである。
(1)周囲温度が低下するほど、送風速度が速いほど氷層の凍結速度は速くなる。(2)凍結速度が速いほど、氷層に含まれるCOD濃度は高くなり、希薄度(原液のCOD濃度/氷層のCOD濃度)は減少する。これは凍結速度が速いと溶質が氷層に取り込まれるためである。(3)氷層が厚くなるにしたがって、深い位置の氷層ほどCOD濃度は高くなる。外気に近い氷層ほど、希薄化は大きくなる。(4)周囲温度と送風速度から凍結速度と凍結希薄化された氷層のCOD濃度の推定式が得られた。(5)容器の深さが深いほど溶質は遠のきやすく、同一深度の氷層の希薄度は高くなり、氷層が厚くなっても希薄度は減少しない。
このように、凍結により氷層の溶質濃度は希薄化され、未凍結の液層の溶質は濃縮されることが確認された。
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