研究概要 |
環境に与える負荷の小さい温室夜冷システムを開発するため、太陽熱をエネルギー源とする昼夜間欠式吸収冷凍機の実験装置を試作し,動作を確認するための実験を行った。昼の集熱と夜の放熱を行う再生・放熱器は,平板型の太陽熱集熱器を改造して製作した。吸収器は,ステンレス製の真空容器の内部を分離層,吸収層,タンク層に分割して使用した。気液の接触面積を大きくするため、吸収層にはポリプロピレン製の中空ボールを充填した。冷媒として用いる水を昼に凝縮させ、また夜に蒸発させる蒸発・凝縮器は,銅管を使用して製作し,伝熱を良くするためフィンを取り付けた。吸収液は,予備実験と吸収能力の試算の結果から臭化リチウム水溶液とした。実験の結果、試作した昼夜間欠式吸収冷凍装置は、原理的には問題なく作動し、昼の太陽熱による吸収液の濃縮と、その濃縮液を利用した夜間の吸収冷凍効果を確認することができた。しかし凝縮器の伝熱面積が十分ではなかったため、昼の凝縮行程の際に再生器で蒸発した水蒸気の分離と凝縮がスムーズに行われず、吸収液の濃縮が十分に行われなかった。夜間の吸収行程はスムーズに進み、充てん材の効果が確認された。この結果をふまえ、平成9年度は凝縮器を改良して実験を行い、システムの熱特性を調べる。またトリエチレングリコールなど、環境に与える負荷のより小さい吸収液についても検討し、実験を行う予定である。
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