研究概要 |
(1). あぜ草刈の問題点を明確にし,課題の草刈機の設計資料を得るため,研究代表者有馬と分担者木村が企画して信州大学農学部農業セミナー(公開研究・講演会)「あぜ草刈りの省力と安全を求めて」(協賛:長野県,JA長野ほか)を1996年と1998年の2回にわたって開催した。2回とも実用資料とするための講演要旨冊子(33〜34頁,各500部)を発行し,講演,機械展示と操作実習及び,総合討論を行い,多数の参加者から大きな反響を得た。 (2). 畦畔草刈機の設計資料とするため,伊那地方の畦畔の断面形状,畦畔雑草の時期的消長,田植機の水田内走行時のバウンシング及びヨーイングと旋回性能及び信州大農周辺における平成8年度の水田転作及び調整水田の設置状況を調査した。 (3). 以上と木村の膨大な研究成果を総合して各種の部品を調達し,草刈機の試作を行った。 (4). 試作機は田植機のトラクタ,その3点ヒッチの先端から後輪の直後を右方向へ伸ばした片持梁型アーム1本,さらにそれから前方へ4節回転機構で支持したアーム2本,アームのカウンターバランス1個,0.9kw・2サイクルエンジンで駆動する遠心クラッチ付きレシプロ草刈刃,草刈刃の位置と姿勢の制御用レバーその他で構成した。 (5). 草刈刃は刈幅440mm(又は680mm)のものを用い,運転者の右斜め前側方で作動させる。この草刈刃はトラクタの油圧で上下させ,水平移動は電動アクチュエータでアーム2を操作して行う。また草刈刃は小型のアクチュエータでトラクタの進行方向を軸として左右へ傾け畦畔の法面傾斜に適合させる。なお,草刈刃が異物へ衝突した場合の破損防止のために,2種の安全装置を設けた。また路上走行時には全装量を車幅内へ折り畳める特長がある。 (6). 圃場実験の結果,細部には改良の余地があるものの良好に作動したので1998年9月の公開研究・講演会及び各社の新聞で公表した。学会発表は平成11年3月に農作業学会で行う。
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