昨年度の研究により、籾の貯留容器内で一部の籾が結露等により高水分となった場合、二酸化炭素の発生が増加し、この変化を検知できることが明らかとなった。今年度は、本方式の実用化を目的として、実際の籾乾燥貯蔵施設の貯蔵タンク(約200t堆積)において、結露を想定して数百kgの濡れ籾を作成し、結露発生の検知を行った。濡れ籾の設置場所は現実に対応して堆積籾の表面とした。二酸化炭素濃度計をタンクの上部空間と床下に配置して測定を行い次の結果を得た。 (1)同一空間内では、高さが高くなるほど二酸化炭素濃度は低い。 (2)濡れ籾がないときは、すべての位置において、二酸化炭素濃度は一定で推移した。 (3)天井部排気口の密閉の有無に関わらず、結露想定籾が配置されると、二酸化炭素濃度が増加し、その発生を検知することができた。したがって、密閉性の低いビンにおいても、異常籾の発生を二酸化炭素濃度の変化から検知が可能である。 (4)二酸化炭素の発生源が近い濃度計の測定値はかなりの変動を伴いながら上昇した。 (5)結露による高水分籾は、通常、上部空間付近で発生する。したがって、結露籾の検知に限定すれば、上部空間に一つの濃度計を設置することで十分対処できる。 (6)乾燥不良籾等による異常が発生した場合、その位置によっては検知が遅れることが考えられる。対処としては、ガスのバイパスを設ける等の改良が必要となる。
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