研究概要 |
本年度は,前年度に試作した熟度判別システムを含むハンドリングシステム全体の改良を目的とした。ハンドリングシステムとしては,ステッピングモータによる3本指型の多関節型把握部を試作・改良し,導電性ゴムによる感圧素子とA/D変換器の組み合わせで果実の圧縮特性をリアルタイムで計測しながら最適把握力を求める,一種の自己学習型適応制御システムを開発した。この把握部には重量測定用のロードセルを組み込み,果実を下から支えると同時に果実の重量を測定する方式を採用した。また,熟度判別システムとしては,過去に計測したナシ果実(赤ナシ系統の豊水)の表面の色彩・色差データ(Lab表色系で評価したもの)を基準として,主として果実の花落ち部と果実全体の色を計測するために,発光部とカラーセンサーによる受光部を組み合わせた熟度判別システムの改良を行った。ここでは,発光部の制御と対数アンプによる受光部から出力されるデータの変換,周囲の明るさや太陽光の色温度による補正回路,逆光による明度と光量の補正回路を持ち,処理が複雑かつ同時性を要求されるため,制御用のコンピューターと複数のボード型コンピューターの組み合わせによる分散処理を試みた。今後は実際の圃場での作業に応用する予定である。
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