(1) 主に幼植物体葉群を対象とした傾斜角の3次元分布の画像計測手法の開発 研究開始時点において、本計測手法を実現するプログラムは、計測対象の汎用化が考慮されていなかった。このため、本プログラムの計測対象はトマト苗など比較的大型の作物に限定されていた。さらに、実行途中において不統一なフォーマットによる中間データを取り扱わなければならないなど、プログラム間の連携の非効率さのため、本計測手法の利用に際して特別の知識が必要となるなど、手法の実用化さらには将来の自動化を妨げる状況があった。そこで本研究では、個別に散在するプログラム群を単機能のモジュールとして整理しつつ、それぞれを全面的に記述し直した。計測の手順に従って順次処理される中間データを、不可視なデータストリームとして各プログラム間で受け渡されるようにした。さらに、対象作物を限定するパラメータを抽出し別途指定可能としたため、本計測手法は、当初の目的である幼植物体葉群への適用はもちろんのこと、プログラム使用者が任意にパラメータを指定することで様々なスケール・葉形状の作物への適用が可能となった。 (2) 主に幼植物体葉群を対象とした色情報の2次元分光分析に関する研究 幼苗期の葉群の色情報を効率よく計測し、生育に関する情報をリアルタイムで得るために、2次元走査型分光分析計の開発を行った。具体的には、市販の白黒CCDカメラを受光素子、プリズムを分光器として用いた。本器の対物レンズは、広角レンズから超望遠レンズまで交換可能なため、計測対象物は幼苗期などミクロなスケールに限定されず、圃場レベルの群落などへの適用も可能である。本器は対象物を概ね400nm〜1000nmの範囲で分光可能であり、適当な微動雲台に載せて1次元走査を行うことで対象物の2次元分光分析結果を容易に得ることが可能である。また、将来、微動雲台を自動操作可能とすることで、遠隔計測も可能となる。
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