画像処理により豚の体重を高精度で推定する方法の確立を目指し、本年度は、豚の上方投影面積と体重との関係に及ぼす性、成育段階、および品種の影響を検討した。北里大学附属農場で飼育される体重6.0kg〜114.2kgの育成豚と肥育豚合計251頭を実験に供した。品種はランドレース(L)、大ヨ-クシャー(W)、ハンプシャー(H)、デユロック(D)の4品種による2元交配計12種である。豚の撮影はCCDカメラを用い、試作放置枠に供試豚を入れ、正常な起立姿勢を選んで行った。得られた画像を白黒に2値化処理し、白色豚画像の上方投影面積を算出した。1頭につき5回画像を撮影しその平均投影面積、ならびに面積の変動要因となる耳と尾の画像を削除した修正投影面積をそれぞれ求めた。撮影直後、電子式体重計で供試豚の体重を測定し、平均投影面積および修正投影面積と体重との関係を統計処理した。 全供試豚の平均投影面積および修正投影面積と体重との関係はいずれも指数関係を示し、修正投影面積は平均投影面積より体重との相関は高かった。回帰式に対する測定値の変動は育成期で小さく、体重が増すにつれて大きくなる傾向を示した。雄、雌の2性別、および育成期、肥育前期、肥育後期の3成育段階別の供試豚について、平均投影面積および修正投影面積と体重との指数回帰式に差があるかどうかを共分散分析法で解析した結果、いずれも有意な差は認められなかった。しかし品種間では平均投影面積と体重との指数回帰式で12品種のうち8品種が他の品種の半数以上と有意な差があった。さらに修正投影面積と体重との指数回帰式では品種間差は減少し、他の品種と半数以上に有意な差が認められたのはLD、DW、WL、WWの4品種にとどまった。このことは耳や尾に品種の特徴が存在すること意味している。修正投影面積と体重との指数回帰式を用いた豚の体重推定精度を検討した結果、成育段階別および品種別の指数回帰式を用いると精度は向上し肥育後期で【.+-。】3.1%、LD種では±4.8%となった。
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