豚の体重計測は従来型の体重計を用いた場合、時間や労力がかかるため離乳時および出荷時の2回程度しか体重を計測できず、効率的な管理をするためには非接触方式の簡易な体重計測装置の開発が切望されている。本研究は画像処理により豚の体重を非接触方式で簡易にかつ高精度で計測するシステムの開発を目的とし、実用化技術開発の基礎を確立することを目指した。 成果として、ビデオカメラを用いて豚を上方より撮影し、その映像を画像処理して求めた投影面積に、直接測定した豚の体高を乗じた(投影面積×体高)の値は次元解析の結果、体積の次元に近似し豚の体重と高い相関を示すことを発見した。この(投影面積×体高)の値と体重との重回帰式を利用すれば品種差が少なく、約±5%と実用的な精度で豚の体重測定が可能であることがわかった。このため豚の体高を画像処理により非接触方式で計測する必要がでてきた。 そこで投光により豚の影を作り、それをビデオカメラで撮影し、画像処理して影の長さを計測、入射角度と影の長さとの幾何学的関係式より体高を算出する方法を探った。体重47.6kg〜107.0kgの肥育豚合計7頭を供試し、豚の推定体高と実測体高とを比較した。供試豚5頭の体高の平均絶対誤差が4.6%となり実用的な値を得た。しかし残り2頭は10%以上の大きな誤差が生じた。これは光源および豚の位置により豚の肩の影ではなく脇腹の影ができてしまいその影の長さを計測したためと考えられる。これより、投光による豚の体高を簡易に計測する方法が見出せた。豚の肩の影をつくる最適な光源および投光位置の検討が残された課題である。 以上の成果よりビデオカメラを用いた画像処理による簡易な豚の体重推定法を確立することができた。豚の影をつくる最適な光源や投光位置の追求と実用化に向けた「画像処理による簡易な豚の体重計」の製品開発とが次の課題である。
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