研究概要 |
本課題では放牧育成牛の産肉特性を明らかにする目的で、(1)放牧飼養、(2)牛舎内で生草を刈り取り給与する青刈飼養(Zero grazing)、(3)牛舎内で貯蔵飼料・濃厚飼料を給与する舎飼飼養の3つの飼養方式により育成牛を同一の増体速度で成長させ、各飼養方式における育成牛のエネルギー・蛋白質および脂肪蓄積量を比較屠殺法により測定し、育成牛のエネルギーおよび体成分蓄積量に及ぼす放牧の影響について栄養的要因と運動の要因を考慮に入れて検討している。 平成10年度は青刈飼養と舎飼飼養の違いについて検討するため、5ヶ月齢・体重155kgのホルスタイン去勢牛8頭を供試し、青刈区および舎飼区にそれぞれ4頭を配置した。青刈区は5月から10月にかけての131日間、チモシー主体草地からの青刈草を牛舎内で自由採食させて飼養した後に、屠殺した。舎飼区は青刈区より3週間遅く試験を開始し、牛舎内で濃厚飼料と乾草を乾物比2:1の割合で増体速度が青刈区と同等になるように給与量を調節して130日間飼育した後、屠殺した。試験期間中に両区のの牛から採血を行い、血中代謝産物および代謝調節ホルモン濃度を測定した。 青刈区と舎飼区の平均日増体量はいづれも0.6kg、終了時体重は240kgと同様であった。消化管内容物を除いた全屠体の重量(EBW)に有意な違いはなかったが、青刈区は舎飼区に比べ、EBWに占め・る内臓の割合が有意(P<0.05)に高く、枝肉の割合が有意(P<0.05)に低くかった。1日当たりの蛋白質、脂肪およびエネルギー蓄積量は青刈区で65g、44gおよび3.08MJ、舎飼区で87g193gおよび5.49MJであり、青刈区は舎飼区に比べ蛋白質蓄積量が高く脂肪とエネルギーの蓄積量は低い傾向が認められた。血中代謝産物・代謝調節ホルモンは、舎飼区に比べ青刈区でNEFA濃度が有意(P<0.05)に高かったが、BUN,glucose,insulin,GH,IGF-1濃度に有意な差はみられなかった。
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