前年度までの研究で、越冬性が高い結果の得られたペレニアルライグラスの生態型を供試し、北上高地の標高610mの地点に試験圃場を設置した。供試系統の内訳は、我が国の収集系統3及びドイツアルプスの収集系統9に、新たに日本から2系統ドイツから1系統をそれぞれ収集し、流通品種3を加えた計18系統である。これらを、1区12個体、4反復乱塊法で配置したので、合計864個体を供試した。この試験区の内の4ブロックの216個体について、登熟期に個体毎に採種した。 種子をアルカリ処理により組織を柔軟にし、染色した後、光学顕微鏡を用いてエンドファイトの感染の有無を調べた。多くの個体のエンドファイトの存在を確認する必要があったため、当初予定していたアルカロイド抽出用のエバポレータの購入を断念し、代りに顕微鏡にビデオカメラとモニターを装着したエンドファイト探索装置を購入し、検鏡の効率化をはかった。その結果、一部に疑わしい個体が認められたものの、明らかに感染してエンドファイト菌糸が存在する個体は認められなかった。 来年度は、エンドファイト感染種子を入手し、人為的にエンドファイトを死滅させる環境条件を調べ、同一遺伝子型でエンドファイト感染個体と非感染個体を作出し、両集団の環境耐性の比較を行う予定である。
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