研究概要 |
昨年度に調査したペレニアルライグラス18系統に加えて,本年度は新たに国内育成品種8,海外からの導入品種・系統36の合計44について,光学顕微鏡にビデオカメラとモニターを装着したエンドファイト探索装置を用いて,感染種子割合を調査した.その結果,国内育成品種は8品種全て感染率が0%であった.海外からの導入系統は0%から100%の極めて広い範囲にあり,平均値は42%であった.エンドファイト感染率は種子重量と関係が認められ,種子の大きい品種は感染率が低く,逆に小さい品種の感染率が高い傾向にあった.種子の大きい品種は一般に家畜飼料生産用に育成された4倍体品種が多く,小さい品種は芝生用として育成され,エンドファイトを人工的に感染させた2倍体品種が多いためと考えられる.その他の調査結果については現在とりまとめ中である. 国内育成品種の感染率が低い理由として,わが国の気象条件が植物体内でのエンドファイトの生存に不適なためと考えられることから,現在,試験圃場に同一遺伝子型のエンドファイト感染個体と非感染個体を育成中であり,これらの個体を交互に栽植することにより,感染の有無と競合力との関係を明らかにしようとしている.また,同時に,植物体内でのエンドファイトの死滅条件を植物生育実験装置を用いて調査する予定である.
|