研究概要 |
本年度は,主としてエンドファイト感染個体のわが国気象条件下における適応性について調査した.芝生用の品種として,高度にエンドファイトに感染した種子が輸入され,ゴルフ場やスポーツグラウンドに播種されている.これらの種子がどの程度効果を発揮しているかをみたところ,既存の芝地で牧草の個体密度が低下した場所にエンドファイト感染種子をオーバーシードした場合は,ペレニアルライグラスで20%以下の低い値となり,トールフェスクでは0%であった.しかし,植生が何もない場所に種子を吹き付けた場合のスポーツグラウンドではペレニアルライグラスで70%と高い値を示した.この場合でも,年次の経過によって感染個体率が低下することが考えられることから,今後,追跡調査が必要とされる.エンドファイト感染率の高いペレニアルライグラスの流通品種の種子から個体を発生した場合,種子で調べたエンドファイト感染率は高かったが,発芽させ,数週間養成したばあいの感染個体率は低かった.植物体とエンドファイトの生長速度や共生関係等,エンドファイトを品種育成に効率的に利用する上で明らかにしなければならない事項が多く残っているため,今後さらに積極的に研究を推進する必要がある. 収集したエンドファイト系統の特性検定と人工接種試験は,現在継続中である.
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