研究課題/領域番号 |
08660327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
板橋 久雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (00280991)
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研究分担者 |
黒川 勇三 東京農工大学, 農学部, 助手 (00234592)
神田 修平 東京農工大学, 農学部, 助手 (20015118)
鎌田 寿彦 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70015121)
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キーワード | 反芻家畜 / ルーメン発酵 / メタン抑制 / ルーメンプロトゾア / ルーメン分解率 / パーム核粕 |
研究概要 |
反芻家畜の生産性を低下させることなくメタン生成を抑制する方法について検討した。今回はルーメンからのメタン生成に大きな影響を及ぼすプロトゾアとルーメン発酵の操作を通じたメタン抑制について研究した。 1.【大豆のパフ処理の影響】ルーメンでの窒素の利用効率を高めるためにルーメン内での分解率を低下させた蛋白質飼料の給与が重要になっているが、この場合、メタン生成も低下することが予想される。そこで、主な蛋白質源として生大豆(RSB)またはそれを加熱処理し分解率を低下させたパフ大豆(PSB)を用い、ルーメン発酵に及ぼす影響を比較検討した。その結果、in vitro実験ではガスの生成量はPSB給与の方がRSB給与よりも傾向としては少なかった。乳牛を用いたin vivo実験では乳量は両区間に差はなく、乳脂率はRSB給与の方がやや高く、乳無脂固形分率はPSB給与の方がやや高かった。ルーメンアンモニア態窒素濃度はPSB給与の方が低かったが、プロトゾア数にはPSB給与の影響は認められなかった。以上より、飼料蛋白質の分解率を低下させることによりメタン生成を抑制できるが、その程度は比較的小さいと考えられた。 2.【パーム核粕給与の影響】パーム核粕(PKC)は銅(Cu)を比較的多く含む特徴がある。ルーメンプロトゾアは銅に対する抵抗性が弱いのでPKC給与によるプロトゾア数の抑制について検討した。乳牛の飼料にPKCを16%混合し、PKCの代わりにふすまを給与したものを対照区とした。その結果、両区の間に乳量には差は認められなかったが、乳脂率はPKC区の方が高かった。ルーメンアンモニア態窒素濃度はPKC給与の方が低かったが、プロトゾア数にはPKCの影響は認められなかった。以上より、この程度の量のPKC給与ではメタン濃度は低下しないと考えられた。今後はPKCをさらに多く給与したときのメタン生成の変化を検討するとともに、新たなメタン阻害剤の開発を試みる。
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