Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus IFO16935を用い、本菌の脱脂乳培養した時に生産されるプロティナーゼについて研究した。 培養液からプロティナーゼをDEAE-トヨパールクロマトグラフィー、DEAE-トヨパール再クロマトグラフィーおよびトヨパールHW-55によるゲルろ過クロマトグラフィーにより本酵素を高度に精製した。その結果、収率3%、にしておよそ156倍に濃縮された精製酵素を得た。しかし、SDS電気泳動で調べた結果、数本のバンドが確認されたことから本酵素は完全には精製されていなかった。 本酵素のこの段階での酵素学的性質について調べた。本酵素の至適pHは6.0、至適温度は35℃であった。また、本酵素はDIFPで強く阻害され、EDTEによっても阻害が認められるセリンプロテアーゼであった。本酵素は水銀によって活性が低下し、マンガンによって活性が賦活された。本酵素をカゼインに作用させ電気泳動でその分解を調べた結果、β-カゼインの分解が認められ、K-およびαs1-カゼインは分解されなかった。生成するペプチドをHPLCで調べた結果、αs2-とβ-カゼイン由来のペプチドを多数見つけた。β-カゼイン由来のペプチドはβ-カゼインの164番目からC末端側であった。また、αs2-ガゼイン由来はαs2-カゼインの188番目からC末端側のペプチドであった。これら領域は疎水性が高い領域であることから本酵素は疎水領域を認識していると考えられた。
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