発酵乳の代表的乳酸菌であるLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus(Lb.bulgaricus)を用いて本菌の脱脂乳培養過程中に生成するペプチドとその生成に関与するプロテアーゼについて研究した。 1、 Lb.bulgaricusが使用されているヨーグルト中のペプチドについて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で調べた。その結果、多数のペプチドの存在を認めた。そこで、これらペプチドを分取、精製後、その一次構造を明らかにしたところ、22ピークの一次構造が決定された。その多くはβ-CN由来のペプチドでβ-CNの47-93と166-207残基の二つの領域に局在していた。κ-CN由来のペプチドも同定されたが、αs2-CNからは見出せなかった 2、 Lb bulgaricusの脱脂乳培養過程中に生成するペプチドについてHPLCで調べた。その結果、菌の増殖とともに多数のペプチドが出現した。主要なペプチドの一次構造を明らかにした結果、その多くはβ-CN由来ペプチドで、ヨーグルト同様47-91とC末端側の二つの領域に局在していた。κ-CN由来のペプチドも若干同定された。 3、 上記ペプチドの生成する関与するプロテアーゼについてLb.bulgaricusの脱脂乳培地より実際に各種クロマトグラフィーにより高度に精製した。その結果、収率3%、にしておよそ156倍に濃縮された部分精製酵素を得た。本酵素の至適pHは6.0、至適温度は35℃であった。また、。本酵素はDIFPで強く阻害され、EDTEによっても阻害が認められるセリンプロテアーゼであった。。本酵素をカゼインに作用させた結果、αs1-CNは分解されなかった。生成するペプチドを調べた結果、αs2とβ-CN由来のペプチドを多数見つけた。
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