ニワトリにおいて、黄体形成ホルモン(LH)とプロラクチン(PRL)の下垂体前葉における合成と放出が、排卵との関連でどのように変動しているのかを明らかにしようとして、排卵周期中のニワトリを3時間毎に供試し、下垂体前葉中のLHβmRNAとPRLmRNA濃度をSolution hybridization法により、また下垂体前葉と血清中におけるLHとPRL濃度をそれぞれラジオイムノアッセイ法によって測定した。その結果、LHに関しては、排卵7時間前に急激なLH放出が認められ、それに先立ち下垂体前葉中におけるLHβmRNA濃度とLH濃度の増加が見出されたことから、LHの放出に先立ちLHの合成が促進されていることが明らかとなった。これに対して、下垂体前葉中におけるPRLmRNA濃度とPRL濃度には排卵周期中において有意な変動が認められなかったことから、下垂体前葉におけるPRL合成は排卵周期中で顕著な変動を示さないと推察された。また、排卵4時間前に相当する午前4時に血中PRL濃度の増加が認められたが、この時間には休生鶏の血中においてもPRL濃度の増加が報告されているので、照明開始直前も午前4時に認められたPRLの放出は明暗周期などの環境条件によって調整されていると推察された。
|