本研究は、ニワトリの下垂体前葉における黄体形成ホルモン(LH)とプロラクチン(PRL)の合成機構を明らかにすることを目的として、mRNA量を高感度に定量できる方法として知られているSolution Hybridization-RNase protection assayによるニワトリのLHβsubunitとPRLのmRNA測定法を確立し、さらに、この方法を用いて排卵周期中のニワトリと休産中のニワトリにおいて、一日のいろいろな時間に下垂体前葉におけるLHβ subunitとPRL LH β subunit LH β subunitのmRNA量を測定すると同時に、下垂体前葉と血中におけるPRLとLH濃度をRIA法を用いて測定した。 Solution Hybridizationによって、ニワトリLHβ subunitとPRLのmRNAを0.8pg〜400pgの用量の範囲で、特異的に測定できる方法が確立された。この方法を用いて測定した下垂体前葉におけるPRL濃度とPRL mRNA濃度は、産卵ニワトリと休産ニワトリの何れにおいても一日のうちで有意な変動は認められなかったが、それらの濃度は測定した何れの時期においても休産ニワトリに比べ産卵ニワトリの方が高かった。また、血中PRL濃度は産卵ニワトリと休産ニワトリの何れにおいても点灯開始直前に増加が認められ、しかもその増加は産卵ニワトリの方が休産ニワトリに比べ長く持続した。これらのことから、産卵ニワトリの方が休産ニワトリに比べPRLの合成と放出が多く行われている可能性が推察された。これに対して、産卵ニワトリでは排卵前のLHの急激な放出に先立ち、下垂体前葉中のLH濃度とLHβ subunit mRNA濃度の増加が認められ、LHの放出に先立ちLHの合成が促進されていることが明らかとなった。
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