卵透明帯は免疫学的避妊法すなわち避妊ワクチンの最も有力な候補である。我々はすでにブタ透明帯の抗原分析し、避妊ワクチン効果に重要な受精阻害作用を示す抗体(MAb-5H4)を誘導するB細胞エピトープを同定したが、これを含むブタ卵透明帯を構成する分子Zp-1上の198merペプタイド(Recombinant ZP-1;198mer polypeptide抗原)はrecombinant DNA technologyによるin vitroの大量産生系より精製した。このr-198merを(C57BL/6xDBA/2)F1雌マウスに免疫し、所属リンパ節よりFathmannらの方法で抗原反応性T細胞をIn vitroでcell line化した。さらに、これをLimiting Dilution法にてcloningしT cell cloneを得た。得られたT cell cloneはCD3(+)CD4(+)CD5(+)CD8(-)の細胞表面抗原を保有していた。さらに、これらのT cell cloneはr-198merに特異的に反応した。得られた9個のT cell cloneのうち4個はr-198merの中のTLKfragment(No60-79)に反応し、CTY fragment(No50-67)やKRV fragment(No69-100)には反応しなかった。一方、残る5個はTLK、CTY、KRVいずれのfragmentにも反応しなかった。TLKfragmentに反応するT細胞クローンr-pZP1T-2の認識に必要な部位を合成ペプチドを用いて分析したところNo65-71のYEACTKRのペプタイドであった。即ちこのNo65-71はT細胞の抗原認識に重要なpeptide motifでありここにエピトープが存在する可能性が高く、これはB細胞エピトープの存在する部位(No54-61)の近傍に存在することが明らかとなった。
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