研究概要 |
本研究は、MDV潜伏感染細胞内において発現するウイルス遺伝子の解析を目的とする。本年度においては、MDV潜伏感染が共通して発現している潜伏感染関連転写物を同定し、潜伏感染細胞のin situ解析の基本となるプローブを作出した。MDV潜伏感染のモデルとしては、マレック病ウイルス(MDV)形質転換株化細胞(MDV株価細胞)が知られているが、独立に樹立された株間では転写物が異なることが知られてきた。MDV株価細胞間の転写物の相違は、細胞中に存在する偶発的に活性化したMDVの転写物の影響による事が予測されるため、申請者らは偶発的活性化細胞を含まない細胞集団についての転写解析を行った。まず、主要初期抗原pp38の発現細胞の割合から、10^3個のMDV形質転換株化細胞には偶発的活性化MDVが含まれないことを示した。続けて、10^3個のMDV株化細胞についてRT-PCR-サザンブロット解析を行い、ICP27、pol、US3、A41、gA、gB、TK、pp38及びUL50はいずれも潜伏感染細胞中では発現しないことを示した。それに対し、ICP4の塩基配列に対応する0.7kbpのRT-PCR産物は、RPL-1,HPRS-1,MOGA-1,MOGA-2,MSB-1およびMTB-1の6種のMDV株価細胞で共通して検出して検出された(遠藤)。0.7kbpのRT-PCR産物に対応する転写物は、産物のサイズおよび塩基配列からスプライシングを受けていることが示唆された。これらの結果から、ICP4の塩基配列に対応する転写物は、潜伏感染状態のMDV形質転換株化細胞で共通して発現されることが示唆された。続けて、0.7kbpのRT-PCR産物をベクターにクローニングし、潜伏感染を共通して検出することのできるプローブを作出した(昆)。
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