研究概要 |
本年度は、ラットを用いて、局所麻酔薬(リドカイン、ブピバカイン)と非麻薬系の鎮痛作用を持つ薬剤(ブトルファノール、ブプレノルフィン、メデトミジン、ミダゾラム、ケタミン)を組み合わせて硬膜外に投与した場合の、体性痛(tail flick法)および内臓痛(直結腸バルーン法)におよぼす影響について検討した。 その結果、まず,局所麻酔薬リドカインとブピバカイン(Bupi)を比較したところ,いずれも高用量ではモルヒネに近い鎮痛作用が得られたが,持続時間は短く,運動麻痺が顕著であった。次に作用時間が長かったBupiに,ブトルファノール(But 50μg/kg),ブプレノルフィン(Bupr 5μg/kg),メデトミジン(Med 5μg/kg),ミダゾラム(Mid 50μg/kg),ケタミン(ket 0.5mg/kg)を組合せて投与した。その結果,Bupi+But,Bupi+Buprは体性痛・内臓痛においてモルヒネに近い鎮痛効果が顕著な副作用を示すことなく比較的長時間得られた。そこで,さらにこれらの薬剤の用量を変えて検討したところ,Bupi(125μg/kg)+But(50μg/kg),Bupi(125μg/kg)+Bupr(10μg/kg)において,副作用が最小限で鎮痛効果が十分に得られることが明らかとなった。さらに鎮痛効果を増強し作用時間を延長させるため,これらの組合せにBupr,Med,Mid,Ket,エピネフリン(Epi 100μg/ml)のいずれかを加えた3種類の薬剤の組合せについて検討したが、2時の組み合わせ以上の効果は得られなかった。 以上の結果から,Bupi+BuprあるいはBupi+Butの2剤の組合せは十分な鎮痛効果が得られ,かつ運動麻痺の副作用もほとんど見られないことから,モルヒネに代わる硬膜外鎮痛薬として有用であると考えられた。
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