既に抗体が市販されているメタロチオネイン(MT)I&IIのイヌの脳内での局在を免疫組織学的に検討し、アストログリアの核および細胞質に一致して陽性所見が認められることを示した。また、MTIII蛋白mRNAの脳内での発現・分布パターンおよびそのパターンの加齢に伴う変化を明らかにする目的で、イヌの脳由来MTIIIcDNAクローニングを実施した。また、その結果明らかとなった特異的塩基配列をプローブとしてノーザンブロッティング並びにIn situハイブリダイゼーションを実施した。 a.イヌの脳由来MTIIIcDNAクローニング(研究分担者:山野好章) 過去に報告されているヒト、マウスおよびラットのMTIIcDNAと90%以上のホモロジーを有していた。 b.ノーザンブロッティング(研究代表者:島田章則) a.で得られたHIIcDNAクローンに特異的なプローブを設計・・合成し、ランダムラベル法にて32P標識した後、脳の各領域由来のRNAに対しノーザンブロッティングを実施した。その結果、嗅球、海馬および大脳皮質の順に強いシグナルが観察された。 c.In situハイブリダイゼーション(研究代表者:島田章則) a.で得られたそれぞれのMIIcDNAクローンに特異的なRNAプローブを設計・合成し、RNAラベリングキット(べーリンガー・マンハイム山之内)を用いランダムプライマー法ジゴキシゲニン-11-dUTP標識RNAを作製した。4%パラフォルムアルデヒド固定脳パラフィン切片に対し、上記の方法で調整したRNAプローブを用い常法に従いIn situハイブリダイゼーションを実施したところ、ノーザンブロッティングの所見に一致して、嗅球、海馬および大脳皮質の順に神経細胞細胞質に強いシグナルが観察された。 平成9年度の課題:以上の結果をさらに発展させ、加齢に伴い出現する諸変化とMTの局在を比較し、加齢におけるMTの役割について考察する。
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