1.日本におけるガチョウパルボウイルス(GPV)の汚染状況を探るため、過去にGPVの発生のあった3農場において、マスコビーダックの育成率及びGPVの抗体調査を行った。A農場では、とりは90%以上の育成率を示し、抗GPV中和抗体価は1000倍以上であった。しかし、A農場には、抗体価が40倍未満の個体も存在した。B及びC農場では、育成率は34-94%であり、抗GPV中和抗体価は10-10000倍の範囲であった。 2.野外におけるGPVの安定性を調べるため、GPVを糞便存柱下で4℃、25℃、37℃の温度で保存した。37℃では、ウイルスは12週後まで生存し、25℃あるいは4℃では、52週以上生存した。我々は、さらにGPVを不活化するための消毒液について調べたが、高濃度の塩素系消毒液のみが効果を示した。これらの結果から、GPVに汚染された農場からウイルスを除去することが非常に困難であることが示唆された。 3.ワクチン開発のため、我々はバリケンひなを防御する抗体価について調べた。3日齢時に1000倍程度の抗体価があればひなは強毒GPV株の攻撃に対して抵抗性を示した。弱毒GPVをバリケンひなに接種したところ、ひな体内に4週以上存在し、接種されたひなには約1000倍の中和抗体価が認められた。 4.GPVとマスコビーダックパルボウイルス(MDPV)とを迅速型別するためのPCR-RFLP法を開発した。GPVとMDPVとは血清学的に異なるとされており、ワクチンはこれらの血清型別を行った後に応用されるべきである。
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