研究概要 |
豚丹毒菌特異抗体を検出するために、モノクローナル抗体をリガンドとするアフィニテイ・クロマトグラフィーで本菌のFcレセプターを精製し、これを抗原とし、プロテインAを二次抗体とする特異的なELISAを開発し、診断における本法の有用性を検討した。 まず、実験感染豚の血清を用いて反応における抗原の固相化、緩衝液の塩濃度、一次血清の希釈度、ウエル当たりの抗原量などの諸条件を検討した。得られた最適条件下では、感染前血清および豚丹毒菌以外の菌に対する豚抗血清との反応は全く認められず、反応は強毒株に感染した豚の血清で強く、弱毒株によるそれでは弱く、本ELISAが高感度で特異的であることが示唆された。 そこで、豚丹毒感染が疑われ、関節からの菌分離が行われた豚の血清と関節液について本ELISAを実施したところ、血清および関節液のELISA抗体価が800倍未満の場合は菌分離は全例陰性で、1,600倍以上の場合の菌分離率は67〜83%であったことから、本ELISAは食肉衛生検査における豚丹毒罹患豚のスクリーニングに有用であることが示された。
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