本研究の結果、わが国で分離された豚丹毒菌株の中から選出した免疫原性の高い株を用いて本菌のIgG Fcレセプターの存在が初めて証明され、それが65kDaの蛋白質であること、Erysipelothrix属菌に共通の抗原であり、かつ感染防御抗原であることが精製標品によるマウス能動免疫及びMabによるマウス受身免疫試験で明らかにされ、不活化ワクチンのコンポーネントとして有用であることが示唆された。また、Mabを用いて精製・分離した本レセプターを抗原とするELISAは、高感度で特異的であり、抗体測定による豚丹毒の診断に有用であることが明らかになった。これらの成果は、豚丹毒の診断と予防に役立つだけでなく、微生物学的及ぴ免疫学的にも重要な知見であり、学術上、応用上貢献するところが少なくない。
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