研究課題/領域番号 |
08660389
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研究機関 | 日本獣医畜産大学 |
研究代表者 |
高橋 公正 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (40277661)
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研究分担者 |
原田 隆彦 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 教授 (70060530)
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キーワード | 肝胆管癌 / 肝細胞癌 / 2-acetylaminofluorene / vinyl carbamate / マウス / oval細胞 |
研究概要 |
本研究では、マウスの肝胆管癌の発作機序を解明すべく、既知の発癌剤を投与し、その発生過程の究明を目的とした。同時に典型的な肝細胞癌(胆管様構造の発達を伴わないで、癌化した肝細胞からのみ構成される)を誘発させて、両者の病理発生における相違点を、特にoval細胞の出現、胆管様構造の発達に注目しながら観察した。 【材料と方法】5週齢のB6C3Fl雌雄マウスをそれぞれ2群(各群50匹)に分け、一群(肝胆管癌誘発群)には3〜4週間連日コリン欠乏飼料を与え、その間1週当たり4日間連日2-Acetylaminofluorene(2AAQ;13.4mg/kg/日)の強制経口投与を行った。その後1週間休薬期間を置き通常の固形飼料を与えた。以降このサイクルを繰り返した。他の一群には同じサイクルでコリン欠乏飼料のみ与えた。また、肝細胞癌を誘発するために新生仔雌雄マウスにvinyl carbamate(VC;0.15μmol/g体重)をそれぞれ腹腔内に一回接種し、離乳後は通常の固形飼料を与えた。以上の試験群について試験開始後1、3、6および9カ月時(VC群のみ)にそれぞれ5ないし6匹ずつ剖検を行い、組織学的に観察した。 【成績】VC投与群の雄では、試験開始後3カ月時に肝細胞小増殖巣が全例(5/5)にみられ、6カ月時には肝細胞腺腫(2/5)が、また9カ月時では全例(5/5)に腫瘍が認められ、2例が肝細胞腺腫で3例が肝細胞癌であった。一方、VC投与群の雌では3、6カ月時は肝細胞小増殖巣のみ認められ、9カ月時に肝細胞腺腫(2/6)がみられた。2AAQ投与群の雄では試験開始後1、3カ月時に小葉周辺性に高度の肝細胞脂肪化が認められ、特に3カ月時にはグリソン鞘域に軽度のoval細胞の発現がみられた。6カ月時にはびまん性に肝細胞が腫大し、核は大型化し、しばしば2核を示すものが観察された。また、oval細胞の増生がグリソン鞘域を中心に全域において認められた。2AAQ投与群の雌では、雄同様小葉周辺性に肝細胞脂肪化がみられたが、oval細胞の増生は観察されなかった。 【考察】VCによって誘発された肝腫瘍では、その前駆病変としてoval細胞の関与は確認できなかった。一方、2AAQ投与群の雄では、3カ月以降oval細胞の増生がグリソン鞘域を中心に肝細胞間でも確認さられた。今後肝胆管癌の発生が期待できる。
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