1.未利用資源ギンネムは熱帯地域に莫大な分布量を誇り、単位面積当たりのタンパク質生産高は植物界最大である。茎葉部には毒性アミノ酸ミモシンが5%程度含まれており、家畜に種々の病気を引き起こすことから飼料として有効利用されてなかったが、筆者等は浸漬処理法により簡単にミモシンを除去でき、また精製ミモシンは植物生長調節剤として利用が可能なことを証明した。 2.ギンネム林内には落葉中のミモシンが土壌中に多量に蓄積し、植物の生態系を著しく乱すはずであるが、実際にはいくつかの未知微生物がミモシンを資化しており、むしろこれらの微生物はミモシンを好んでエサとして利用していることを明らかにした。 3.ミモシンは植物の生長を抑制するので、ギンネム中では配糖体として不活性の形で存在し、また、ミモシン分解酵素の存在によりミモシン量が調節されていることを明らかにした。 4.ミモシン分解酵素は膜タンパク質であり、アミノ酸のセリンやチロシンで阻害される非常に興味深い酵素であることを明らかにした。 5.熱帯、亜熱帯地域は世界的にタンパク質資源に恵まれてなく、食糧不足であるが、家畜飼料としてギンネムを有効利用すれば、新らしく1兆円以上のバイオマス産業となり得ることを明らかにした。
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