研究分担者 |
上田 久美子 財団法人 発酵研究所, 酵母研究室, 研究員 (20270572)
田村 朋彦 財団法人 発酵研究所, 放射菌研究室, 研究員 (10236755)
中川 恭好 財団法人 発酵研究所, 細菌研究室, 研究員 (70260172)
岡根 泉 財団法人 発酵研究所, 真菌研究室, 研究員 (60260171)
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研究概要 |
本年度は、マングローブ汽水域に生息する糸状菌、酵母、細菌、放射菌などの微生物相を把握することを目的に研究を実施した。試料収集のため、1996年10月に沖縄県西表島、石垣島のマングローブ域で採集を行った。微生物の分離源として、各種マングローブ樹の生葉および落葉、土壌などを採取し、対象とする微生物ごとにさまざまな前処理を行った後、培養を行い、出現した微生物の分離を行った。現在、各研究分担者は分離株の同定や分離株を用いた分類、生態学的研究を進行中であるが、これまでに得られた研究結果の概略を以下に示す。 1.マングローブ6種の生葉から、表面殺菌法および洗浄法により、20種の糸状菌類が検出された。葉の生長段階に伴い、菌相が変化すること、また、樹種により優占する菌類が異なることが明らかになった。 2.マングローブ落葉の分解の進行に伴って、鞭毛菌類→ラビリンチュラ生物→土壌菌、海生菌という、糸状菌類相の遷移が見られることが確認された。また、出現する菌類間に菌寄生現象が観察された。 3.マングローブ落葉、枯木、花、種子、土壌など27試料を、集積培養処理した後、各種培地を用いて培養を行い、117株の酵母を分離した。Candida,Cryptococcus属酵母が高頻度で出現したほか、Kluvelomyces,Williopsis,Hanseniaspora,Metschinikowia,Saccharomyces属酵母が分離された。 4.マングローブ落葉、土壌、水、海藻などから、72株の細菌類を分離した。なお、分離のための培養を、採集直後と実験室に移送後とに行ったところ、前者の方が多様な細菌類が出現することが分かった。 5.マングローブ落葉および土壌から、直接法、希釈平板法、毛細管捕集法を用いて放線菌の分離を行い、35株の放線菌を得た。落葉からは、Streptomyces,Micromonospora属菌が多く出現した。
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