ジャスモン酸はイネファイトアレキシンの生成を強く誘導する一方、イネに対して強い黄化作用も示すことからジャスモン酸代謝関連化合物にエリシター活性のみを示す物質を想定し、各種アミノ酸結合型ジャスモン酸を合成しエリシター活性を測定した。その結果、フェニルアラニン結合型ジャスモン酸に黄化作用は微弱であるが、ジャスモン酸それ自身より強いエリシター活性を認め、さらにイネのファイトアレキシン生合成に関与するシトクロムP-450およびナリンゲニン7-0-メチルトランスファラーゼ活性も強く誘導した。以上の結果より、アミノ酸結合型ジャスモン酸がイネファイトアレキシンのシグナル物質として作用している可能性が示唆された。 ジャスモン酸はファイトアレキシンなどの低分子の二次代謝産物を生成・誘導することが知られているが、イネ葉にジャスモン酸処理をするファイトアレキシンばかりでなく、低分子の抗菌活性を示すタンパク質および熱ショックタンパクも誘導することが明らかになった。したがって、ジャスモン酸およびジャスモン酸代謝化合物はイネの病害抵抗性機構に深く関与していることが示唆された。
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