研究概要 |
1。高等植物原形質膜G蛋白の組織特異的発現: 3量体G蛋白質の発現様式は、in situ hybridization法を用いて特異的に発現している器官の同定を試みた。現在までに、発芽初期の個体では、scutellum,root tip、phloemに、αサブユニットのmRNAの高い発現を検出した。Scutellumは、吸水2日めから発現が検出され、吸水4日目で最大となり、以降減少した。一方、花芽形成時の個体では、子房周辺部、特に、rachilla、nucellus,paricapeに、αサブユニットのmRNAの高い発現を検出した。花芽形成時の発現様式は、αサブユニットのアンチセンス鎖を過剰発現した形質転換イネの胚乳が小さい点と密接に関連していると推察される。また、高等植物3量体Gタンパク質は、栄養輸送機能に関与する可能性も示唆している。 2。高等植物原形質膜G蛋白の構造に関する研究: イネ3量体G蛋白質のαおよびβサブユニットと推定されるcDNAを用いて、αおよびβサブユニットの融合蛋白質を作製した。αサブユニットの融合蛋白質はGTPase活性を有し、活性サブユニットであることを確かめた。また、この融合蛋白質はコレラ毒素によるADPリボシル化を受けること(コレラ毒素の標的酵素であること)を明らかにした。融合蛋白質を用いて調製したαおよびβサブユニットに対する抗体は、イネ原形質膜に局在する45kDaおよび35kDaポリペプチドを特異的認識した。これらの結果から、RGA1およびRGB1は、高等植物の3量体G蛋白質のαおよびβサブユニットに対応していることを強く示唆した。
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