植物のCa2_+チャンネル遺伝子を分離する目的で、PCRプライマーをデザインし、PCRでDNA断片の増幅を行った。プライマーは主として動物のリアノジン感受性Ca2_+チャンネル遺伝子およびL-型Ca2_+チヤンネル遺伝子の保存性の高い域を参考にして多数作成した。PCRのテンプレートはイネ根の全RNAを用いた。その結果、多数のDNA断片の増幅ができたが、Ca2_+チャンネル特有の塩基配列を持つものは得られなかった。現時点でも未だ植物のCa2_+チャンネル遺伝子の報告はないので、この方法でさらに継続して研究する予定である。 この研究と平行して、Ca2_+シグナルが耐冷性を発現させるメカニズムを耐冷性イネの場合について確証する実験を行った。その結果、耐冷性イネでも低温シグナルをCa2_+シグナルに変換することが耐冷性発現に必要なことが明らかになり、さらに、そのシグナルはカフェイン感受性であることも判明した。この結果は国際学会で発表した。また、Ca2_+のシグナルを受けて発現する遺伝子として、脱水で誘導される遺伝子2ヶについて遺伝子の構造と発現様式を解明した(低温感受性イネでは脱水処理によってCa2_+シグナルの発生が起こる。)。この内、wsi18遺伝子はCa2_+シグナルを受けて発現しないが、水チャンネル遺伝子は発現することが解った。
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