研究概要 |
肺細胞中隔細胞を単離培養するための方法の確立 ラットでは生後発育の過程で肺胞中隔細胞の細胞数は5-7日令でピ-ウを向かえ、その後減少することが知られている。我々は7日令のラット肺組織をコラゲナーゼで消化し、単離法としては(1)Percollの比重1.04,1.06,1.07の三層の液への細胞懸濁液の重層による遠沈分画法(400g,30分)(2)Nycodenz7%液への重層による遠沈分画法(1000g,45分)を試みたところ,両方で良い成績が得られ,肺胞中隔細胞を高密度に集めることができた。細胞はF-10あるいはF-12mediumに10%Fetal Bovine Serumを添加した液で培養可能であった。 生理活性物質の投与によるカペオラ成分の分布変化の観察 (1)細胞内に分布するα-smooth muscle actinの分布は培養1日目では発現が弱くしかも20%の細胞に陽性であったが,3日目には75%に増加した。(2)カペオリン,イノシトール3燐酸レセプター(IP3R)およびCaATPase(Ca pump)の分布は,培養1日目ではほぼ同様な分布を示していたが,3日目ではIP3Rの発現が弱くなると同時に,Ca pumpとカペオリンの分布は一致しなくなった。(3)エンドセリンはエンドセリンレセプターを経由して作用する。一般的に,このレセプターのtype A(ETA)は平滑筋に,type B(ETB)は内皮細胞に発現していることが知られている。ヒトETAのアミノ酸配列のC末(403-427)及びETBのC末(420-442)の合成ペプチドに対する抗体(チバガイギ-,滝本氏より供与された)を用いて検索したところ,本細胞にも陽性所見が認められた。この両者の分布はカペオラの局在と一致していたが,ETAの発現は相対的に弱かった。(4)凍結超薄切片法によって,ETBのラベルがカペオラに局在することが確認されたが,ETAの所見は明瞭に示されなかった。
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