研究概要 |
脂肪滴周囲に存在するビメンチン関連抗原について 脂肪滴を標識することが知られているモノクローナル抗体(A2)を用いて、肺胞中隔細胞における,この抗体で標識される抗原の挙動について検索した。ウェスタンブロットではA2抗体は190,160,57kDaのバンドを認識した。蛍光抗体法では脂肪滴周囲のリング状および線維状標識が認められ,後者はビメンチン線維の分布と一致した。リング状標識は培養開始1〜2日目の細胞に顕著で,3日目以降,脂肪滴の減少に伴い消失した。ColcemidおよびCytochalasin Bの添加により,このリング状標識は消失した。眼球水晶体ホモジェネイトにたいしてはビメンチン抗体と同様の57kDaのバンドが認識された。われわれはこの脂肪滴周囲には肝臓脂肪摂取細胞と同様にフォドリンが存在することを観察している。これらから190kDaの抗原はビメンチンとエピトープを共有し,フォドリンとも関連性を持ちながら,アクチン線維、ビメンチン線維と関連した形で、脂肪滴周囲に存在することが示唆された。 肺胞中隔細胞におけるエンドセリンレセプターとカベオリンとの局在 培養肺胞中隔細胞ではエンドセリンレセプターETA,ETBはともに細胞周辺部に局在し,カベオリンの局在と似ており,電顕的にも培養肺胞中隔細胞ではETA抗体の標識の一部が形質膜のカベオラおよび細胞内に局在することが観察された。ウェスタンブロット上ではETA抗体は0日目のサンプルでは58kDaのバンドを認識したが,2日目ではこれに加え52kDaのバンドも出現したが,ツニカマイシン24時間処理では52kDaのバンドが示された。ETB抗体では0〜3日目にかけて54,51,48,35kDaのバンドが認識されたが,ツニカマイシン処理で51kDaとその分解生成物のバンドのみが認識された。このような変化はETA,ETBを導入したCHO細胞でも観察された事から,これらの変化は糖修飾の変化によるものと結論づけられた。
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