研究概要 |
抗原結合蛍光内臓beadsや抗原結合colloidal goldをラットの足蹠および尾静脈に投与した。二次免疫応答時リンパ節内では抗原(径50,200,1000nm)は早期には辺縁洞直下に存在するantigen transporting cell(ATC)に取り込まれ、その後、径50,200nmのbeadsはinterdigitating cell(IDC)内で、径50nm以下の抗原はB細胞領域に存在するFollicular dendritic cell(FDC)の細胞膜上に観察された。しかし、一次免疫応答のATCは早い時期に抗原を取り込こまない。さらに抗原を頻回投与した実験系では抗原はATC内に多く蓄積し、FDCの細胞表面では過剰の抗原に対し、抗原結合能、置換能の抑制が観察された。ATCはFDCやIDCとは抗原の結合あるいは取り込み能が異なることや核の形態及び免疫組織学的特徴が異なることから、FDC、IDCとは異なる特異な細胞であると考えられた。 一方、脾臓では、一次免疫応答でも二次免疫応答でも抗原ははじめに辺縁帯内のmacrophageや白脾髄直下に存在するmarginal metallophil(MM)に取り込まれた。細胞接着分子に関連した遺伝子を欠損した免疫不全マウスaly/alyに抗原結合beadsを投与した実験では、macrophageが存在するにも関わらずこのMMの発達の不良および、存在部位が限定できないことが、一時免疫応答の惹起を阻害している可能性が示唆された。 ATCとMMはいずれも免疫応答の導入部で重要な役割を担う細胞で形態的には類似している点が多いが、MMは一次免疫応答においても盛んに抗原をとり込むなどいくつかの相違点も見られ、両者はそれぞれの場において特異に分化した細胞である可能性が示唆された。
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