研究概要 |
本研究はセカンドメッセンジャーであるIP_3代謝酵素の細胞化学的検出法の開発と、cAMP、cGMP代謝酵素の動態の研究からなっている。 IP_3代謝酵素に関しては、IP_3 phosphataseを始めとする一連の酵素活性の検出法はこれまで報告が無かったことから、現在細胞化学的検出方法の開発を進めており、IP_3代謝酵素の内、IP_3 phosphataseおよびInositol-1,2,4,5-Tetrakis phosphatase,Inositol-1,4-Bis-phosphatase,Inositol-1-Mono-phosphatase開発をほぼ完了した段階である。現時点ではIP_3 phosphataseの活性局在の場所は腎臓の刷子縁、膵臓の腺腔に向かう原形質膜に陽性である他、小胞体膜に陽性である。 cAMP、cGMP代謝酵素の検索に関しては、代謝酵素であるadenylate cyclase(AC),guanylate cyclase(GC),phosphodiesterase(PDE)の細胞化学的検出法はすでに報告しており、今回はこれらを用いた局在が観察された。組織はホルモン産生の下垂体、感覚器のEimer器官、貧食の活発な滑膜である。 下垂体では、細胞の種類により活性の局在分化が示され、GH細胞の原形質膜上にACとPDE活性が陽性であるほか、PDE活性は細胞質に陽性であった。 関節の滑膜にはA、B二種類の細胞が存在し、A細胞ではAC活性が波状縁と貧食胞の原形質膜に陽性となり、B細胞に対して分化を示すと共に、変形性関節症において活性の上昇を観察して、A細胞を賦活していることが推定された。 Eimer器官を構成するkeratinocyteの原形質膜にAC,PDE活性が陽性に観察され、さらに直下の層板小体の原形質膜にもAC,5Nの活性が陽性であった。
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