研究課題/領域番号 |
08670034
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
相磯 貞和 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60138013)
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研究分担者 |
小川 元之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90255422)
平岡 芳樹 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80218768)
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キーワード | プロラクチン / 遺伝子発現 / 免疫組織化学 / in situ PCR / プロラクチン受容体 |
研究概要 |
今年度は、特に腎臓におけるプロラクチンの発現に焦点を当てて、研究を行った。まず、マウスの腎臓からRNAを抽出し、プロラクチン遺伝子に特異的なプライマーを用いた液相のRT/PCRで調べたところ、特異的なバンドが得られ、腎臓においてもプロラクチンが発現していることが証明された。次に、in situ RT/PCR法を用いて、腎臓における、プロラクチンmRNAの局在を調べた。その結果、プロラクチン遺伝子は間質細胞に発現する事が解った。更に、蛋白質レベルでプロラクチンの発現を確認する為に、免疫組織化学的手法を用いて、プロラクチン蛋白質の局在がそのメッセージの局在と一致するかどうかを、検索した。やはり、間質細胞にプロラクチン蛋白質の局在が示唆された。腎臓の間質細胞で産生されるプロラクチンの標的細胞の同定が、次の問題となる。そこで、プロラクチン受容体に対する抗体を作製して、その局在を調べることにした。まず、プロラクチン受容体の細胞外ドメイン部分のリコンビナント蛋白質を調製し、これを抗原としウサギに免疫し抗体を得た。この抗体を用いて、腎臓の免疫組織化学を行ったところ、尿細管の刷子縁と間質細胞の細胞膜に、陽性反応を得た。尿細管の刷子縁のプロラクチン受容体は、恐らくその局在からみて、糸球体を通過したプロラクチンの再吸収に関与するものと思われる。これに対し、間質細胞の膜表面に存在する受容体は、間質細胞が産生したプロラクチンを自ら受け取り、パラクリン・オートクリンの形式でその機能を果たすものと予想される。その生理的機能に関しては、まだ明らかではないが、今後の研究の進展によって明らかにされてゆくと期待される。
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