研究課題
基盤研究(C)
最近、光刺激に応答する視床膝上核(Sg)と小脳室頂核(Ft)の間に線維連絡のあることを報告した。そこで今回、膝上核に投射線維を送る室頂核神経細胞がどの様な形態をしているかをWGA-西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の逆行性軸索輸送を利用して検索した。実験には成熟ネコ(体重2.5〜3.5kg)10匹を用いた。動物をケタミン(筋肉内注入)および、ネンブタール(腹腔内注入)麻酔下で、WGA-HRPを膝上核に0.01μ1圧注入した。このネコを2日間生存させた後、深麻酔下で灌流固定した。その後、膝上核を含む視床および小脳について厚さ50μmの前頭断連続切片を作製し、テトラメチルベンチジン(TMB)反応を行って、HRPを可視化し光学顕微鏡を用いて観察した。小脳連続切片を観察した結果、小脳核のうち室頂核の尾側半部の領域に逆行性軸索輸送によるHRP陽性標識細胞を認めた。両側室頂核における陽性細胞総数814を樹状突起の形態から分類すると、以下の4タイプに分けられた。4つ以上の突起をもつ星状細胞(10.1%)、3つの突起が三方向に伸びている三角細胞(13.0%)、2つの突起が両極に伸びる紡錐細胞(2.0%)、および突起をほとんど有しない小型の顆粒細胞(1.5%)が認められた。その他にWGA-HRPの反応陽性産物が細胞質内に確認されるものの、突起にまで満たされていない神経細胞(73.4%)が多数観察された。上記のように膝上核に投射する室頂核神経細胞を4タイプに分類したが、これは以前の研究者により報告された室頂核内のすべてのタイプの神経細胞と類似している。よって、分類されなかった陽性神経細胞も、樹状突起まで反応産物が満たされれば4タイプのどれかに所属し、室頂核内の全てのタイプの神経細胞が膝上核に投射線維を送っているの考えられる。
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