研究概要 |
脳軟膜細胞の生理的役割の全貌を明らかにする為に、本年度は実験的に神経細胞死や脳の機能異常を誘発した際の軟膜産生蛋白(apolipoprotein E,β-trace protein,IGF-II/IGFBP-2等)の動態を解析する事を計画していた。この計画に沿って、得られた成果を箇条書きすると。 1)培養髄膜細胞はapolipoprotein Eなど多数の生理活性因子を産生する。 2)脳虚血により誘導される海馬CA1の細胞死に伴い、apolipoprotein E,cystatin C並びにtrasferrinが神経細胞体に高密度に集積する。 3)下垂体摘除により誘導される視床下部vasopressin神経の細胞死に伴い、β2-microglobulinが集積する。 4)脳虚血によるCA1の細胞脱落から3-6か月後、再度apolipoprotein E陽性物質がβ-amyloid様蛋白と共に集積する。 以上の成績は脳髄膜が細胞死などにより出現した老廃物(cholesterol etc.)を運搬除去する役割を担っている可能性を示唆している。
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