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1996 年度 実績報告書

寝たきり老人における脳循環動態に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 08670051
研究種目

基盤研究(C)

研究機関鳥取大学

研究代表者

河合 康明  鳥取大学, 医学部, 教授 (70143972)

キーワード寝たきり老人 / 脳血流量 / 頭蓋内圧 / 脳浮腫 / 脳機能 / 体位変換 / レーザードップラー / 近赤外線
研究概要

寝たきり老人の脳循環動態を調べる目的で以下の2つの実験を行った。1.近赤外線を利用してヒト脳組織の酸素飽和度ならびにヘモグロビン量(局所の血液量に相当する)を測定し、体位変換時におけるこれらパラメータの変化を観察する。2.ラット、ウサギを用いた動物実験において、脳血流量および頭蓋内圧を同時測定し、HDT(水平より頭部を45度下げる)負荷した際の変化を経時的に記録する。脳血流量はレーザードップラー血流計により、頭蓋内圧は大槽またはクモ膜下腔にカテーテルを挿人して測定した。
立位から背臥位に体位を変換すると、直後に脳組織の酸素飽和度は9.4%、ヘモグロビン量は4.9%増加した。これらの変化は、体位を元の立位に戻すと速やかに消失した。体位変換により生じる酸素飽和度およびヘモグロビン量の変化は、男性群と女性群の間にも、また若年群(20代)と加齢群(40-65)の間にも有意な差が認められなかった。HDT負荷を行うと、頭蓋内圧は急激な上昇を示した後、基線に向かってやや下がってプラトーに達した。その後、ラットでは4時間から8時間にかけて再上昇したが、ウサギではプラトーレベルを維持した。ウサギ脳血流量は、HDT負荷2時間までは有意な変化を示さなかった。
以上の結果より、臥位(ヒトの場合)あるいはHDT位(ヒトでは-6度、動物では-45度)では脳血流は一過性に増加するが、その後時間経過とともに徐々に減少すると推測される。その原因として頭蓋内圧の上昇が関与すると考えられる。寝たきり老人の場合、経過が非常に長く、また老齢であることを考慮すると、「寝たきり状態」は慢性的な脳血流減少、頭蓋内圧上昇、脳浮腫発生などを誘起し脳機能低下の一因となることが憂慮される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Y.Kawai: "Acute responses of brain oxygenation during postural change in humans" 6th World Congress for Microcirculation. 697-701 (1996)

  • [文献書誌] M.Doi: "Effects of head-down tilt on cerebral microcirculation and intracranial pressure in rabbits" 6th World Congress for Microcirculation. 103-107 (1996)

  • [文献書誌] Y.Kawai: "Cerebral hemodynamics during simulated microgravity in humans and rats" Proceedings of the IV World Congress of the ISAM. (印刷中). (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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