研究課題/領域番号 |
08670053
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松井 秀樹 岡山大学, 医学部, 教授 (30157234)
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研究分担者 |
富澤 一仁 岡山大学, 医学部, 助手 (40274287)
松下 正之 岡山大学, 医学部, 助手 (30273965)
森脇 晃義 岡山大学, 医学部, 講師 (10144742)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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キーワード | カルシニューリン / FK506 / シクロスポリンA / 長期増強 / 長期抑圧 / 電位依存性カルシウムチャンネル / カイニン酸 / 遅発生神経細胞死 |
研究概要 |
細胞内に流入したカルシウムイオンのシグナルはキナーゼ系とフォスファターゼ系に振り分けられ、標的蛋白質のリン酸化レベル制御を通じて生理作用を発現する。カルシニューリンはCa^<2+>/カルモデュリンによって直接制御を受ける蛋白質脱リン酸化酵素であり、Ca^<2+>シグナルのフォスファターゼカスケード系への伝達の役割と増幅の作用を担うKey酵素である。カルシニューリンは中枢神経細胞内に多量に存在し、FK506結合蛋白質(FKBP12)やシクロスポリンA結合蛋白質(シクロフィリン)などと共存している。そのため免疫抑制剤FK506やシクロスポリンAにより特異的に制御しうる。本研究ではこれらの薬剤を利用して中枢神経におけるカルシニューリンとそれに関連する情報伝達系の機能を脳の可塑性に注目して以下の点を解析した。 1) 海馬シナプス可塑性、特に長期増強(LTP)におけるカルシニューリンの役割。 2) キンドリングによるてんかん源性獲得機構におけるカルシニューリンの役割。さらにキンドリングにおける海馬苔状線維の突起新生とシナプス形成など形態学的可塑性制御における働き。 3) カイニン酸による海馬ニューロンの遅発性神経細胞死誘発機構におけるカルシニューリンの作用と免疫抑制剤FK506による神経細胞死の制御。 この研究によってカルシニューリンがカルシウムイオン情報の伝達によって神経の突起新生やシナプス新生などニューロン回路網の形成を制御すること、またシナプス長期増強などのシナプス可塑性を制御することを明らかにした。また神経細胞のアポトーシス様細胞死に関与する事も明らかにした。特にカルシニューリンインヒビターであるFK506が神経細胞死を抑制し神経保護薬として作用しうる事を示す事が出来た事は注目される。 これらの研究成果をふまえ今後は神経細胞死におけるカルシニューリンの作用の解析をさらにすすめるとともに、脳保護作用薬としての免疫抑制剤の応用へと研究を発展させて行きたいと考える。
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